人間もねこさまも年齢とともに嗜好が変わる

ナス、大嫌いでした。
子どもの頃は、あのでろれんとした物体を食べる意味がわからなかった。
しかーし！今や大好物。油通ししたナスのとろけるような食感も、きりっとした紺色が美しいお漬物も、なんという美味。おかげで白いご飯が進むこと進むこと。
そのほかにも大人になっておいしさがわかったものがたくさんあります。

つーさんは、若かりし頃、生魚が苦手でした。
十数年前に住んでいたアパートの大家さんが魚屋さんで、時々余ったお刺身を「ねこちゃんに」といってただでくれたのです。それがまあ、近海もののマグロのお刺身！
大抵のねこさまならすっ飛んでくるようなお土産なのに、つーさんときたら、




ええ……やっすいキャットフードのほうがいいってか？
うーん、違いのわからん女じゃのう。


あれから幾星霜。
下僕同様、新たな味覚の喜びに目覚めたつーさん。

お刺身大好き！
 


ああ、大家さん。
あの白猫が、今やスーパーのマグロの切り落としで目の色を変えます。
あの頃の罪深いつーさんをお許しください……


とかいっていますが、下僕も子どもの頃から生魚が食べられず、つーさんのおさがりと化した近海ものマグロ刺身をわざわざ生姜＆醤油で煮て食べていたのでした。おお、罰当たり。
でも、今では刺身も寿司も、もりもり食べます！

一説によると、大人になって嗜好が変わるのは味覚の衰えによるものということですが、こういう変化なら、衰え上等！と思います。食べる楽しみは、生きる喜びですからね。